しかし、「使える筋肉」「使えない筋肉」などというものは存在しない。
あるのは「筋肉を上手く使えるかどうか」という“現象”だけだ。
むろん、遺伝要因による速筋繊維と遅筋繊維の割合によって、個人ごとに持久力型か瞬発力型かという特性の違いはある。
そして、「筋トレによって肥大するのは速筋繊維の方なので、ボディビルダーの身体は速筋の塊のようなものだ。
だから持久力やスタミナは無いに違いない」とよく言われる。
しかし、アメリカのある研究報告によると、投てきなどのパワー系の競技選手、それもオリンピックレベルの
トップアスリートの筋肉を調べたところ、「タイプIIx」(最も瞬発力が高くて持久力のない筋線維)に
分類される筋肉がほとんどなく、ほぼすべてが「タイプIIa」(瞬発力と持久力を併せ持つ筋繊維)であった。
一般人の場合、「IIx」と「IIa」との比率は1:1~1:2といわれているが、トップアスリートは「IIx」がゼロに近いのだ。
そのくらい、全ての筋肉が持久的能力を併せ持つ「IIa」に変わってしまっているのである。
つまり、筋線維は基本的にどんなトレーニングをしても、よりスタミナのあるほうへシフトしていく。
その理由として考えられるのは、トレーニングの量だ。
パワー型のアスリートも、スプリンターも、勝つためには長時間のトレーニングをこなさなければならない。
たくさん走り、たくさん跳び、たくさん投げないといい選手にはなれないからだ。
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