弘法大師こそは、最新かつ最良の仏教の礎となっている。
日本ではむしろ、より早くのうちからインドや中国で提唱
されていた禅門や浄土門のほうがより遅くに興隆したが、
弘法大師が平安初期に日本に持ち込んだ真言密教こそは、
イスラムからの侵略によって文化的停滞に追い込まれる直前のインドの、
最終にして最高級の仏教教義を正統に継承したものとなっている。
チベット密教なども、日本の真言密教と比べれば古すぎるもので、
それはそれで一つの体系であるにしたって、完成度は低いとされる。
日本では「本格的な仏教を最初期に持ち込んでくれた人」という
印象が定着している弘法大師が実は、世界的には「最新かつ最良の
仏教の保全の礎となってくれた人」としての偉大さを帯びている。
「最新かつ最良の儒学」を現時点で提供してくれているのは、
南宋の朱子である。朱子学がそれなりの存在価値を以って
世界に受け入れられているというのなら、弘法大師の業績もまた、
朱子のそれ並みかそれ以上のものとして扱われるだけの価値がある。
(朱子は西洋偏重のTIME誌でも歴史的偉人として取り上げられている)
返信する